北海道車中泊の旅日記・プロローグ

プロローグ 旅のきっかけは、天気

天気ばかりは、思い通りにならないものだ。
私は2016年、北海道の礼文島を旅して、心底そう思った。

ずっと憧れていた、花の浮島・礼文島。
この島でトレッキングしてみたくて、思い切って飛行機を予約し、3泊4日なら1日くらい晴れるだろう!と長めに宿を予約した。移動になんだかんだ時間がかかるため、せわしないのはやめよう、と札幌やら小樽やら、途中の立ち寄りはなし。羽田-稚内の飛行機、そして稚内からフェリーで礼文島へと、この島一筋で旅の計画を組んだのだ。しかし・・・

prologue
2016年に訪れた礼文島は、濃霧の世界だった

雨は降らなかったものの、4日間すべて、分厚い雲が上空を覆った。
両側に花が咲き乱れるトレッキングコースも、濃霧状態で神秘的と言えば聞こえはいいが、ガイドブックで見た景色とはだいぶ違う。本ではどこまでも広がる高山植物の花畑がとても美しかったが、実際は霧で3m先しか見えない。まるで白昼夢の世界のようだった。
ましてや、礼文島からは隣の利尻島にそびえる利尻山がばっちり見える、とあったのにそれすら全くおがめなかったのだ。私は今回再び稚内からフェリーに乗るまで、利尻山がどんな全貌なのか知らなかった。
台風が来るとか、豪雨にみまわれるとか何もできないよりはマシだったけど、でもあの景色を見たくて旅を計画したようなものだったので、とにかく悔しかった。

天気さえよければ・・・

そう考えていると、「天気がよくなるまで待っていれば、そのうち晴れるのではないか」と当たり前のことを思いついた。いわゆる“天気待ち”だ。
このときは夫と二人旅行だったため、頭とお尻の日程は決まっており、飛行機とフェリーという融通の利かない移動手段を取らざるを得なかったが、私は幸い(?)フリーランスの身である。
そして、北海道へはフェリーという移動手段があることを知っている。
遠い昔、学生に毛が生えたくらいの時に、今回の旅と同じ大洗から苫小牧までフェリーで渡ったことがある。その頃はLCCなんてものはなかったから、とにかく安く旅をする!と節約を優先させると自動的にフェリーという選択肢になった。
船の旅もそれなりに楽しかったが、フェリーで北海道へ渡る人は、ほとんどが車かバイクと一緒に乗船するということをそのとき初めて知った。

そして、現在。我が家はアウトドア好きが高じて、ほぼフルフラットにできるミニバン、フリードに車を買い替えた。この理屈でいくと、車ごとフェリーで北海道へ渡り、車中泊しながら北上していけば車で利尻・礼文へまた行けるではないか。

自分の思いつきにワクワクした。礼文、リベンジ!

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