エピローグ 自由なスタイルの旅に、夢中になる
「ペシの恋人展」でこの駄文をzineという形にアウトプットするべく、勢いで書いていたすべての文章に目を通しながら加筆修正した。
最初から読み進めていると、少し忘れかけていた当時の旅のさまざまなシーンが生き生きとよみがえってきた。ほぼすべての出来事や行動は記録したつもりだが、書ききれなかった小さな小ネタはまだたくさんある。
また、写真を改めて見返してみると、北海道の外の美しい景色ばかりに気を取られ、楽しかったちゃんちゃん焼き晩餐会や水曜どうでしょうトランプなどの写真は、iPhoneでしか記録していなかったことを後悔した。
次回はすべてのシーンを作品として残す意識を持ちたいと思った。
プロローグで、旅のきっかけは天気と書いたが、もう一つ理由があった。
私は2015年にガンという大病を患い、そこで人生観が大きく変わった。
幸い発見が早期で、治療も落ち着き今は元気でぴんぴんしているけれども、宣告されたときはそれなりに衝撃があった。
今は2人に1人がガンになる時代だ。悲壮ぶるつもりはないけど、自分が死ぬかもしれないということと向き合ったときに悟った。
人はいつ死ぬかわからないし、明日のこともわからない。
それならやってみたいこと、体験してみたいことはトライしてみようと、今回の旅を決意した。
2週間車でひたすらまわる旅というのはもちろん初めての経験だった。だからこそ、旅の途中で自分の気持ちがどうなるのかは未知数だった。
もしかしたら、車中泊に飽き飽きして途中で帰りたくなるかもしれない。
疲れて運転を誰かに代わってほしくなるかもしれない。
・・・けれどもフタを開けてみたら、私は最後までちっとも帰りたくなかったし、どこまでも移動できるフリードとの旅がひたすら楽しかったし、また来年も行きたいとさえ思った。
車中泊しながら車で旅をするこの自由なスタイルに夢中になった。
北海道に限らず、これからあちこち旅に出てみようと思う。